A-Forum e-mail magazine no.93 (13-01-1022)

今度は国家によるデータ改ざん ー 日本は大丈夫?

金田勝徳

昨年(2021年)末、新型コロナ禍をかいくぐりながら、学生時代の友人4人でミニ忘年会を強行した。私を除く他の3人は、いずれも建築家ないしは建築事務所で、意匠設計担当者として働いていた同級生である。そのため建築関連の話題で盛り上がる中で、日本ではなぜ、建築がほとんど一般メディアに取り上げられないかの議論になった。

渡航の機会が多い友人たちによれば、全てではないにしても、海外では建築に関する新聞記事を多く目にし、建築をテーマとしたテレビ番組も少なくないという。タクシーに乗れば、運転手からその町が誇りとしている新旧の建物や、ご本人が好きな建物の自慢話を聞かされた挙句に「お客さんの好きな建物は?」と質問され、その国の一般市民の建築に対する関心の高さに驚かされるという。一方、日本の状況を見れば、一部の例外があるにしても、一般メディアで建築に関する話題が取り上げられることはごく限られている。ましてはタクシーに乗った時、観光案内をされることがあっても、その町の建物自慢を聞かされた経験はない。この違いはなぜなのか。

その時の結論は、日本では建築にまつわる話題には官民問わず薄汚れた話が多く、建築業界といえば悪者集団といったイメージが強いからではないか、とのことになった。古くから建設工事にまつわるスキャンダルは絶えることなく、建築がマスメディアで話題になるときの殆どが、業界性悪説を裏付けるような内容となる。発・受注を巡る汚職、各種施工・製品検査データの改ざん、手抜き工事、構造計算書偽装等など、思い起こせばきりがない。

私たちがこんな居酒屋談義に花を咲かせた忘年会の二日後に、こともあろうに建設業界を所轄する国交省によって、データの不正書き換えが行われていたとの報道に仰天することとなった。不正に書き換えられたデータは「建設工事受注動態統計」で、国交省が各都道府県の担当者に指示した書き換えは、遅くても2010年代前半から始まっていたという。‘19年に会計検査院から問題指摘がされた後も、引き続き本省自らが各都道府県からの鉛筆書きデータを消しゴムで消して、水増しした受注額データを上書き保存していたと聞く。身内の監視機能に甘さはなかったのか。

一連のことが新聞で報道された後、国交大臣が「不適切な処理があった」と認め、首相は「大変遺憾」と言いながらも、ことの詳細については、現在も国民に説明がなされていない。私たちの怪しげな居酒屋談義を裏打ちするようなこうした事件に、言葉を失う。

国によるデータの書き換えと言えば、私たちの親や祖父の時代の日本が「大本営発表」という偽りの情報に翻弄され、悲惨な結末を体験させられたことが思い起こされる。そこまで歴史をさかのぼらなくても、つい最近の2018年には厚労省による「毎月勤労統計」データ不正事件がある。これらは、いずれも国の情勢を実態より見栄え良く見せようとして、なされたことだと思われる。国を代表する巨大企業から、建物の安全性能を左右する材料メーカーまでにおよぶ各種データの改ざん・捏造に加え、国によるデータ書き換えや不都合な記録抹消などの報に接するたびに、日本の民主主義は大丈夫?との心配が募る。

新年早々、コロナ第6波の兆しと共に、こんな暗い話にしかならない見栄えの悪いスタートとなった今年の平穏を祈るばかりです。


Archi-Neering Design AWARD 2021 (第2回AND賞)

選考委員
福島加津也(委員長)(東京都市大学教授/建築家)、陶器浩一(滋賀県立大学教授/構造家)、磯 達雄(建築ジャーナリスト)、堀越英嗣(芝浦工業大学名誉教授/建築家)

一次選考結果発表

Archi-Neering Design AWARD 2021 (第2回AND賞)にご応募いただき有難うございました。
応募作品40点について2020年12月18日(土)に一次選考を行いました。議論を重ねた選考の結果、10点が一次選考通過、4点が入選となりました。

一次選考通過

受付NO    応募作品名
05    GALLERY U/a
10    山並みに呼応するCLTの連続円筒シェル屋根 <南予森林組合新事務所>
11    甲陽園の家(LVLを用いた組木アーチフレーム)
12    Dタワー西新宿
13    懸垂鋼板が空に漂うKAIT広場
15    CLT二方向フラットスラブ -木の美しさを活かした環境型ターミナルの設計を通してー
24    閖上の掘立柱-震災後に嵩上げされた堤防と共存するオフィス-
29    まれびとの家「伝統Xデジタルファブリケーションに構造的な価値付けをする」
38    HIROPPA「ありきたりな材料とローテクでつくられた上品な建築」
40    RYUBOKU HUTー-流木を構造体とした縄文建築-

以上10点につきましては入賞とし、最終選考会にてプレゼン(プレゼン時間4分程度+質疑応答6分程度)を行い公開審査(Youtubeライブ配信)により最優秀賞、優秀賞を決定します。

入選

受付NO    応募作品名
6    ロッドネットで織物表現-桐生ガススポーツセンター(桐生市民体育館)-
14    FUJIHIMURO "氷穴"
18    Digital Garage "Pangaea" | Super Furniture
30    SQUWAVE〜木質パビリオンから始まる人と空間の相互作用~

以上4点につきましては、最終選考会には進めませんでしたが良作につき特別に入選とさせていただき、HPおよび冊子に作品を掲載いたします。

最終選考会

日時:2022年2月5日(土)14:00~18:00
会場:日本建築学会 建築会館ホール


空間  構造  デザイン研究会 Part I :「空間と構造の交差点」
第3回「高層木造の可能性」


日時:2022年2月16日17:00~19:00
会場:オンライン(Zoom)先着90名

「三菱地所グループの木造木質化事業の取組」海老澤 渉(MEC Industry、三菱地所設計、三菱地所)
「高層純木造耐火建築『OY Project』」百野 泰樹(株式会社大林組)
「木造の最前線と今後の展望」安達 広幸(株式会社シェルター)


参加申し込み:
https://ws.formzu.net/fgen/S56224667/

第40回AF-フォーラム
「施工から見た基礎杭の今日的課題」

2022年2月24日18:00~20:00
コーディネーター:神田順
パネリスト:加倉井正昭、橋本友希
会場:オンライン(Zoom)、Youtubeライブ配信(アーカイブあり)
参加申し込み:こちらのフォーム よりお申し込みください。
*「お問い合わせ内容」に必ず「第40回AFフォーラム参加希望」とご明記ください。

地盤の評価と不可分な杭の設計については、近年の技術開発、環境配慮や施工性、コストなど、判断要素も複雑です。地盤や基礎に関しては、建築基準法上の規制が上部構造に比べると少ないこともあり、設計者に委ねられる部分が多いとも言えます。その反面、現実には地震で杭が破損していたことが判明したり、支持地盤の確認不足など、課題も多く指摘されています。
今回は、基礎構造について長年研究を続けてこられたパイルフォーラムの加倉井正昭氏と、実務での経験から一般読者も対象とした著書「杭の深層」(建築画報社2021年11月)を出版された橋本友希氏をパネリストにお呼びします。杭基礎構造については、さまざまな課題がありますが、本フォーラムでは主に施工にかかわる諸課題を中心に加倉井・橋本の両氏にそれぞれのご経験を踏まえて議論いただきます。構造技術者のみならず、建築設計者も含めて自由に議論できる場となるよう、今回のフォーラムを企画しました。


アーキニアリング・デザイン展 2021動画公開

2021年11月4日(木)~11日(木)、建築博物館ギャラリー(日本建築学会)にて開催されたアーキニアリング・デザイン展 2021「「建築とエンジニアリングの融合」を再考する」内で展示された動画を公開しました。
JSCA賞 第31回作品賞(2020)、JSCA賞 第32回新人賞(2021)、第15回日本構造デザイン賞(2020)、第1回AND賞 (2021)より、先品のパネル・模型と共に展示されました。


NIPPO 本社ビル/丘の礼拝堂/東急池上線旗の台駅/LUCERNE FESTIVAL ARK NOVA/自然の力によって波打つ天板/TBM PROJECT- CLTを用いた折板構造V字梁 –/昭和電工(大分県立)武道スポーツセンターの屋根構造におけるトータルデザイン/CLTと鉄骨によるフィーレンディール構造-鳥取ユニバーサルスポーツセンター「ノバリア」/洗足学園 STAGE ON THE LAWN/木頭の家/White Tube ーサークルパッキングのアルゴリズムを利用したトンネル空間で、来場者に憩いの場を提供ー/文化財の復旧過程を見せるための構造手法-熊本城特別見学通路-/垂井町役場/福井県年縞博物館/CRANKS[生活を守るRCの外殻と、生活をつくる木造インフィル]
★コメント欄にタイムスタンプ有

A-Forum 2020-2021 まとめ冊子

AF-Forum第31~39回とエッセイをまとめた冊子を作成しました。
2020年より続く新型コロナウイルスによるパンデミック下にもかかわらず、皆様の暖かいご支援により様々な活動を続けることができましたこと、心より御礼申し上げます。
ご高覧頂けますと幸いです。
PDF
神田 順 まちの中の建築スケッチ 「旧東京医学校本館-生き延びた明治建築-」/住まいマガジンびお

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